タナゴ君とのこと#1
私は、つい最近までタナゴ君のことが好きでした。タナゴ君というのは、淡水魚のタナゴを飼っていて溺愛しているという彼のことを聞いて、母がこっそり付けたあだ名です。
結局タナゴ君と付き合うことはありませんでしたが、私にとって初めてがたくさんあった恋だったので、忘れないようにここに記したいと思います。
タナゴ君との出会いは去年の6月、とある授業のグループワークでした。そのグループワークではプレゼンをすることになり、グループが同じだっただけでなく担当する箇所も同じだったので二人でL〇NEなどのやり取りすることが増えました。
さらに、一人暮らしの同級生が多い中で、私とタナゴ君は実家暮らし、しかも帰る方向が一緒だったので一緒に帰るようになりました。
初めて一緒に帰った日、その人がある淡水魚を飼っていることを知りました。私も高校時代に淡水フグを飼っていたことがあったので、共通点ができた気がして、純粋にすごくうれしかった日でした。
次に一緒に帰った日、「よく行く淡水魚のお店がある」という話をしてくれました。学校の最寄り駅のすぐそばにあるそうで、私が興味を示すと、「今度一緒に行く?」と言ってくれました。多分社交辞令だろうな、と思った私は軽い気持ちで「うん」と答えました。これがまさか実現するとは知らずに…
その後も、プレゼンの準備をしつつ、くだらない世間話やお互いの高校の時の話など、L〇NEや一緒に帰ったときなどに話して、盛り上がっていました。
そんなある日、駅でその人と別れた後、その人と続いていたL〇NEの返信が来ました。「今度の火曜日か水曜日に淡水魚のお店行こうと思ってるんだけど一緒にくる?」
私は男性からこのような誘いを受けたことが無かったので、すごくうれしくて「行きたい!火曜はバイトだから水曜がいいな」と返信しました。
そんなこんなで私とタナゴ君は、ある水曜日の放課後、一緒に淡水魚屋さんに行くことになりました。
次回に続く…